理事長挨拶
久留米大学医学部
産婦人科学講座 教授 嘉村 敏治

特定非営利活動法人日本婦人科腫瘍学会の理事長を本年5月より務めさせていただくことになりました。本会は平成10年にそれまで活動していたいくつかの関連学会、研究会を多くの先達のご努力によって統合し、婦人科悪性腫瘍に関する医療をさらに発展させ、もって国民の福祉の向上に資する目的で生まれました。この目的を達成するために本会は次の活動を推進していきます。
<関連領域との交流の強化>
現代の高度な婦人科悪性腫瘍に対する医療を支えるのは婦人科医だけでできるものではなく病理診断医、放射線診断医、放射線治療医、化学療法専門医の協力が必要であります。そこで本会は設立の段階から上記の多くの関連領域の医師に会員として参加していただいています。本会はこの関連領域の会員間の交流をさらに深化させ、婦人科がんの診断治療の一層の向上に努めていきます。
<治療ガイドラインの充実>
本会の目的を達成する事業として設立当時から着手してきたものに頸癌、体癌、卵巣癌のガイドライン作成があり、標準治療の普及に力を注いで参りました。これは今後も内容を更新しながら事業を継続していきます。
<婦人科腫瘍専門医制度の充実>
さらに本会の重要な事業の一つに、婦人科腫瘍専門医の認定があります。これは婦人科腫瘍に関する医療の質を担保する必要があるという機運が高まり、長い準備期間を経て平成16年に婦人科腫瘍専門医制度が発足しました。日進月歩の医療の中で専門医として時代に合った必要な知識、技術を身につけるための研修プログラムの充実を計り、質の高い婦人科がん医療の均てん化を目指して行きたいと思います。
<婦人科がんに関する学術研究の促進>
学術の面では明日の標準的治療確立に資する臨床研究やその一つ前のtranslational researchなどの研究の発表の場としての学術集会の支援、また優秀な研究に対する助成も可能な限り行っていきます。
<国際交流の奨励>
Globalな時代において世界に情報を発信することや新たな情報を得るために国際交流を盛んにしていくことが必要なこととなっています。そこで姉妹団体でありますIGCSやASGOに関してはその活動に積極的に協力して行きます。それ以外でもSGO, ESGO, ASCOなどの婦人科がん医療に関連する学会の学術集会には特に若い医師に積極的に発表などを通じて交流することを奨励します。
<一般の方への広報活動の強化>
これらの活動はホームページを通じて一般の方々にも出来る限り公開し、本会を理解していただくとともに、婦人科がんに関する正しい知識を得ていただくことを継続して行っていきます。特に予防法や早期発見の重要性の理解や、がんと診断された方には診断や治療法を理解する上で役に立てていただくことを目指します。
以上これらの活動を通じ、これまで宇田川前理事長をはじめ歴代の理事長が積み上げられてきた本会の実績をさらに伸ばして、女性のライフステージのクオリティのさらなる向上に貢献することができますように努力をいたしますので、会員の皆様のより一層のご支援ご協力をお願い申し上げます。